前立腺がん
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当院での診療科・サポートのご案内

がん疾患名 前立腺がん
主診療科 泌尿器科

関係する診療科[連携診療科]

診療科 連携内容 目的
腫瘍内科 化学療法 併用によるがん治療
放射線科 放射線療法 併用によるがん治療
臨床病理科 病理診断 病理診断
疼痛・緩和ケア科 緩和治療 身体的・精神的苦痛の治療
在宅診療科 在宅医療対応 在宅医療
麻酔科 麻酔 手術時麻酔

関係するサポート

サポート 連携内容 目的
リハビリ リハビリ 身体機能の回復のリハビリ
臨床心理士 診療サポート カウンセリングの実施
栄養士 栄養指導 栄養管理指導
薬剤師 医薬品の調剤・情報提供 調剤・服薬指導及び相談など
NST 栄養摂取 栄養摂取サポート
感染症科 感染症の治療 感染症治療

内科的治療

現状

前立腺がんの治療は(1)外科的治療、(2)放射線療法、(3)ホルモン療法、(4)化学療法などがあります。このうち、(3)ホルモン療法がとてもよく効くがんで、男性ホルモンをがんに近づけない治療が中心となります。ホルモン療法が効かなくなった場合でも、化学療法などが奏功することがあり腫瘍内科と連携し治療を行っています。

今後の展望

ホルモンが効かなくなった前立腺がん(去勢抵抗性前立腺がん)は増加しています。当院ではこのような患者さまに最新の治療を提供すべく、新規薬剤を早期に導入実施します。

外科的治療

現状

外科的治療つまり手術療法ですが、当院では腹腔鏡下手術を中心に治療を行います。安全、確実な手術手技を心がけています。腹腔鏡下手術は術後の回復が早く、術後の痛みはかなり軽減できます。

今後の展望

前立腺がん手術の件数は増加しています。勃起神経を温存できる患者さまには積極的に温存手術を取り入れています。当院の術後の尿禁制は他施設と比較しても全国有数の治療成績と考えています。手術方法も日々ブラッシュアップし良い治療を提供します。また、当院の手術方法の普及など行って参ります。

検査・診断

がんの診断から治療まで

検査について

それぞれの検査の説明

問診

おしっこの症状などをお聞きします。

直腸指診検査

おしりから前立腺を触診し、がんの局在、深達度などを確認します。

CT

前立腺周囲のリンパ節や他臓器(肺や肝臓など)への転移がないかを調べます。

MRI

がんの局在、深達度、リンパ節転移などを調べます。CTでは読めない前立腺内部の様子がわかります。

骨シンチ

前立腺がんは骨への転移が多いがんとして知られます。骨への転移を調べます。

前立腺生検

入院にて、経直腸的前立腺生検は10カ所行い、1泊2日です。会陰式前立腺生検は14カ所行い、2泊3日です。

直腸指診検査

おしりから前立腺を触診し、がんの局在、深達度などを確認します。

ステージ分類

悪性度診断:(Gleason score:グリソンスコア)



がんと一言で言っても、良性に近い性質を持ったがん、ものすごく悪い性質のがんがあります。 前立腺がんではGleason score(グリソンスコア)という点数で悪性度を診断します。 みつかった主な二つのがん集団をそれぞれ5段階評価します。図グリソンスコア1+1=2は悪性度がもっとも低いがん、グリソンスコア5+5=10がもっとも悪性度が高いがんということになります。ほかにも3+4=7、4+3=7、5+4=9など評価されます。 つまり、悪性度が高ければ高いほど浸潤したり、転移したりする可能性が高いがんということになります。一般的に3+3以上が治療対象と考えられます。

病期診断:(TNM分類)

悪性度がわかったところで、次にそのがんがどの程度広がっているのかを、CT、MRI、骨シンチなどで評価します。がんが広がっている=広がりやすいがんと考えることができます。Tは前立腺から発生したがんがどこまで広がっているのかを診断しています。

T1 偶然見つかった、あるいは生検でみつかる限局がん
T2 a丸い前立腺を半分に見立て、片葉の小さな範囲にあるがん
b片葉の2分の1を超える範囲をしめるがん
c両葉に広がるがん
T3 a前立腺を被う膜を超えたがん
b精嚢浸潤があるがん
T4 前立腺に近接する膀胱や直腸に浸潤したがん
N Nはリンパ節転移の有無です。N0は転移なし、N1は転移有りです。
M Mは離れた場所に転移の有無です。(遠隔転移:肝臓、肺、骨など)M0は転移なし、M1は転移有りです。

悪性度と病期を組み合わせ、治療方針を組み立てます。 とくに限局性がんでは今後再発のリスクを充分加味し、再発の少ないがんであれば経過観察や小線源など、逆に再発、再燃の可能性が高い状態と判断されれば、手術、放射線などを積極的に行います。

治療

当院で行っている主な治療法

手術 腹腔鏡下前立腺全摘除術保険適応
恥骨後式前立腺全摘除術保険適応
補助療法 ホルモン療法(内分泌療法)保険適応
化学療法保険適応
放射線治療保険適応

使用ガイドライン

日本泌尿器科学会、NCCN

各治療の説明

ステージ別、治療方法の選択基準

各治療の説明

治療法 主な特徴と適応 主な副作用
腹腔鏡下前立腺全摘除術 術後回復が早い 手術時間がやや長い
傷が小さい 尿漏れ
出血量がすくない 勃起障害など
限局性がんでは、当院の第一選択  
恥骨後式前立腺全摘除術 手術時間が早い 尿漏れ
癒着が強い場合は開腹がよい 勃起障害など
放射線療法 身体的な負担が少ない 排尿時痛、排便困難
年齢を問わず治療が行える 尿道狭窄
根治的治療の他に、症状緩和を目的に
使われることもある
勃起障害など
ホルモン療法(内分泌療法) 前立腺がんの進行を抑える治療法 性機能障害
進行期の患者さまが中心 筋力低下
手術や放射線療法との併用 腹部脂肪の増加など

再発の予防

再発の予防

専門医師

泌尿器科

安倍 弘和

医師 泌尿器科 部長・内視鏡下手術センター長 兼務

安倍 弘和 (あべ ひろかず)
ABE Hirokazu

日本泌尿器科学会専門医・指導医、 日本泌尿器科学会日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定制度認定医、 Da Vinci console surgeon certificate、 医学博士

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鈴木 康一郎

医師 泌尿器科 部長

鈴木 康一郎 (すずき こういちろう)
SUZUKI Koichiro

日本泌尿器科学会専門医・指導医、 日本泌尿器科学会日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定制度認定医、 Da Vinci console surgeon certificate、 厚生労働省指定オンライン診療研修修了

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越智 敦彦

医師 泌尿器科 部長代理/腫瘍外科 医長/腎移植科 外科担当責任者

越智 敦彦 (おち あつひこ)
OCHI Atsuhiko

博士(医学)、 日本泌尿器科学会 専門医・指導医、 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医、 日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(泌尿器科領域)、 日本移植学会 移植認定医、 日本臨床腎移植学会 腎移植専門医、 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、 日本肉種学会 専門医・指導医、 Da Vinci console surgeon certificate、 臨床研修指導医講習会 修了、 緩和ケア研修会 修了、 厚生労働省指定オンライン診療研修 修了

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腫瘍内科

大山 優

医師 腫瘍内科 部長

大山 優 (おおやま ゆう)
OYAMA Yu

日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、 米国腫瘍内科専門医、 米国血液科専門医、 日本臨床腫瘍学会指導医、 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医、 日本臨床腫瘍学会協議員、 日本臨床肉腫学会理事、 日本サルコーマ治療研究学会評議員

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放射線科

庄司 一寅

医師 放射線科 部長・放射線治療センター長

庄司 一寅 (しょうじ かずふさ)
SHOJI Kazufusa

日本放射線腫瘍学会・日本医学放射線学会 放射線治療専門医、 厚生労働省指定オンライン診療研修修了

医師の詳細はこちら

治療実績

治療実績(対象期間:2022年4月~2023年3月)

※患者数は検査入院除く
※手術件数は1患者に対する複数回手術もカウントしている

男女別入院患者数

男性 142人
女性 0人
142人

男女別患者割合

年齢別入院患者数推移

男性
0〜9歳 0
10〜19歳 0
20〜29歳 0
30〜39歳 0
40〜49歳 0
50〜59歳 7
60〜69歳 42
70〜79歳 75
80〜89歳 17
90歳以上 1
合計 142
女性
0〜9歳 0
10〜19歳 0
20〜29歳 0
30〜39歳 0
40〜49歳 0
50〜59歳 0
60〜69歳 0
70〜79歳 0
80〜89歳 0
90歳以上 0
合計 0

手術件数

腹腔鏡下前立腺全摘除術 32件
ロボット支援前立腺全摘除術 61件
恥骨後式前立腺全摘除術 0件
除睾術 19件

化学療法

外来 329件
入院 20件

放射線療法

外来 1379件
入院 11件

FAQ

Q前立腺がんが見つかりました、早く処置をしたいのですが。
A

前立腺がんは比較的進行が遅く慌てる事はありません。進行の早いがんもあるため治療方針をその患者様ごとに決定します。

Qホルモン療法を受けています。PSAは低いままです。いつまで続けるのですか?
A

ホルモン療法は局所浸潤がん、転移がん、高齢者に施行し継続して行うのが一般的ですが、間欠的に行う事もあります。主治医とご確認ください。

Q手術療法で勃起機能を温存したいのですが。
A

がんの部位や悪性度を考慮し、神経を温存が可能か慎重に決定します。神経を温存しても戻らないこともあります。