疼痛・緩和ケアチーム
支持治療・在宅医療

疼痛・緩和ケア科(チーム)

人生にはさまざまな困難があります。人は困難に直面したとき、心配になったり不安を感じたり、落ちこんだり悲しくなったりするものです。そのような心配や不安、落ち込みや悲しみは、通常誰にでも起こり得ることであり、精神の異常というわけではないことがほとんどです。(もちろん例外はあり、稀ですが病的な反応が起こることもあります)

われわれの心は、われわれの体と同じように、自然の回復力が備わっているようです。困難に直面し傷ついた心は、時間の経過と共に、少しずつ回復していきます。困難に直面した当初は強いダメージを受け、食事は喉を通らず夜も眠れない、という状態であっても、時間が経てば少しずつ心は回復し、笑顔を取り戻していく方が多いように見受けられます。

しかし、残念ながら、時間が経過しても心がうまく回復していかないことがあるのも事実です。そのような場合は、周囲の人のよりいっそうの手助けや見守りが必要かもしれません。時としては、専門家による心のケアや心理療法、ある種のお薬が助けになることもあるでしょう。もちろんそれによって心の傷が魔法のように癒えてしまう、という事は通常はありません。しかし、心の状態になんらかの前進が見られたり、あるいは、心がほんの少しでもどこか楽になったり、といったことがあるかもしれません。

われわれ緩和ケアチームでは、心がとてもつらい時、心の回復が思うように進まない時、その他さまざまな場面で、なんらかのお手伝いが出来ればと考えております。緩和ケアチームのメンバーは誰でもそのような作業を行う用意がありますが、その中でも、チャプレン、臨床心理士、そして心療内科・精神科医師が、この作業の中心となるメンバーであると言えましょう。

もしあなたがそれを必要とするのであれば、お近くのスタッフや緩和ケアチームのメンバーにお声をかけてくださればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

1.医師

「緩和ケア」の目指す目標は「患者さまやご家族の生活の質を支える全人的なケア」です。具体的には以下の項目のような内容です。

①「がん」などの治る見込みが難しいご病気による様々な苦しい症状を緩和すること。
②その患者さまを支えているご家族をサポートすること。
③病気の進行度によらず、患者さまとそのご家族の生活の質を支える医療を目指します。
④多職種の担当スタッフが必要度に応じて各専門的立場から協力してサポートします。
⑤全職員が皆様への緩和ケアを提供する場合に、困っている職員のサポートを行います。
⑥緩和ケアを、特別なケアではなく、皆が受けられる当たり前の医療に普及させること。

様々な方法で苦痛の強い身体症状を和らげることが疼痛・緩和ケア科の医師として最も大切な役割です。その他、お話を伺うなかで必要なサポートがあれば、関連職種スタッフに介入の依頼を行うのも重要な役割です。週1回開催している多職種ミーティングでは、患者さまに必要なサポートが行われているか、確認するようにしています。

主治医チームから依頼があった場合に、主治医チームと併診する形で緩和ケアサポートを行っています。入院のみならず、疼痛・緩和ケア外来や、C棟のがんサポート外来にも受診いただけますので、ご希望の際には、担当医師または、看護スタッフにご相談ください。

2.緩和ケアナース

健康なときは、自分自身や自分の大切な人の障害、病気・・・まして“死”など、とても考えられないし、縁起でもないとお思いでしょう。しかし、今生きている人全てにいつかその時は誰にでも訪れます。一人ひとり自分の人生をどう演出するか・・・つらい症状があったらいい時間が過ごせませんよね。つらい症状減らし、大切な人と大切な時間を過ごせるようにお手伝いをします。主役はあくまでも患者さまご家族です。出来ることは見守り、出来ない部分をお手伝いさせていただいたり、一緒に考えたりしていきます。また、これから治療を行っていくうえでもつらい副作用や症状で続けられないということがないようにサポートさせていただくことも大切にしています。

緩和ケアチームに専従看護師として1名、患者さまご家族、医療者に対して病院内、外来、地域を横断的にケアや今後のことについて相談を受けています。また、緩和ケア勉強会を終了した看護師達が院内各病棟のサポートナースとして、病棟でつらさを抱えている患者さまやご家族へ緩和ケアチームの紹介を行っています。

3.チャプレン

日本ではなじみが薄いですが、生きていること自体により生じうる“根本的な苦悩やつらさ”を抱えるなか、「自分らしく生きる」ための援助(スピリチュアルケア)を担当する専門職。 例えば、

医師、看護師からの依頼のほか、患者さま・ご家族からの直接の相談も受け付けています。

4.臨床心理士

緩和ケアサポートチームでは、心理士が入院中の患者さまの心理的なサポートをしています。
病気になると、患者さまもそのご家族もそれぞれ動揺し、生活全般に影響がでてきます。またご家族同士でもお互いに気を遣いあってかえって話しにくくなることもあります。
人の悩みはそれぞれ違います。心理士はゆっくり時間をとってお話しを聞き、その人らしい解決の仕方を一緒に考えていきます。

気分が沈む・イライラする・子供に病気のことをどう話したらいいか分からない、など何でも話したいことがあればご相談下さい。

5.薬剤師

緩和ケアサポートチームの薬剤師は、お薬が有効かつ安全に使用していただくことを通じて、患者さまの痛みやつらい症状を緩和するために活動しています。

具体的には、患者さまの症状にあった痛み止めなどのお薬の選択や使用量の調節、副作用対策について医師や他の医療スタッフに提案しています。患者さまに対してはお薬の効果や薬物療法上の注意点(お薬の使い方、副作用症状やその対策など)の説明を行い、さらに服薬状況の確認をしています。その他にも、注射薬による痛みの治療を行う患者さまに対してはその調製をおこない、院内の緩和ケアに関する薬物療法が標準的に行われるように院内緩和ケアマニュアルの作成にも加わっています。薬物療法を通じて一人でも多くの患者さまの症状緩和に繋がるよう心掛けていますので、お薬でご心配なことがありましたら、遠慮なく声をかけください。

6.理学療法士、作業療法士、言語聴覚士

リハビリテーションとは、心身の障害によって生じた、生活を送る上でのさまざまな困難に対して、それを改善させるような身体・環境に対するサポートを行っていくことです。最近ではがん患者さまに対しては心身が衰弱したり、痛みを抱えながらも主体的に過ごすことができるように係わっています。

緩和ケアの分野では、患者さまとご家族が抱えているさまざまな痛みを緩和し、その人らしく快適に過ごせるようにサポートしていきます。例えば、理学療法では、歩くことや寝る、起きるなどの動作をより楽に行えるように運動指導を行ったり、疼痛・浮腫などの苦痛症状の緩和を目的としてマツサージなどを行います。作業療法では、できる限り自立した生活が送れるように、安全で安楽な環境整備と動作の練習を行います。時には病前の趣味や役割を活かした精神的な支援も行います。言語聴覚士は医師と相談しながら食事形態の調整を行い、食事を楽しむことができるよう心掛けています。またこういった係わりの中で、患者さまとそのご家族を気持ちの面でもサポートできるよう努めています。

7.栄養室

管理栄養士も緩和ケアチームのメンバーです。
当院では常食、治療食、嚥下食など様々な食事があり、管理栄養士が栄養アセスメントを行い患者さまに適した食事提供をおこなっています。制限のない常食では患者さま自身で、Aメニュー・Bメニューを選択でき、さらにK棟入院中の方はKメニュー(追加料金あり)を選択することも可能です。

緩和ケアチームの関わっている患者さまにおいては、痛みや吐き気などで食欲が低下して食事がすすまなくなる方も多くいらっしゃいます。そのような場合、管理栄養士が直接患者さまのところへ伺い、栄養・食事面での相談受けたり、少しでも食べやすくなるような工夫を行っています。例えば、さっぱりしたものだったら食べられるという方には喉越しの良い食材の提供や、ご飯の臭いがきつくて食べられないという方には主食の変更などを行うこともあります。口から食事をとるということは、食べる楽しみや喜び、満足感などが得られ、QOLの維持にもつながります。その為、私たち管理栄養士は緩和ケアチームの一員として、食事に関するサポートしていきたいと考えています。

8.診療部事務

患者さまやご家族と直接お会いすることはありませんが、緩和ケアに関わる診療がいかにスムーズに行えるように色々な職種の方々との調整や連携を行っています。縁の下の力持ちの存在です。私自身、肺がんの母の最期を自宅で看取った経験を踏まえ、患者さま・ご家族の心労が少しでも軽減できるよう、これからもサポートさせていただきます。

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